動物基本法制定の試案

弁護士(茨城) 坂本博之

1 問題の所在

 我が国の法体系は、動物に関して、統一的に規定した法令が存在しない。動物に関しては、動物の愛護及び管理に関する法律(以下「動物愛護法」という)、狂犬病予防法、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(以下「鳥獣保護法」という)、漁業法、家畜伝染病予防法、と畜場法、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(以下「種の保存法」という)、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(以下「特定外来生物法」という)等、いくつもの法令が、それぞれの目的の下に、動物に関する保護、利用方法等について個別に定めている。

 一方、動物愛護法2条1項は、「動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない」と、同条2項は、「何人も、動物を取り扱う場合には、その飼養又は保管の目的の達成に支障を及ぼさない範囲で、適切な給餌及び給水、必要な健康の管理並びにその動物の種類、習性等を考慮した飼養又は保管を行・・・

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