弁護士(大阪) 加納雄二
第1 問題の所在
一般に解散命令を受けた宗教法人は、宗教法人法第50条第1項により、当該宗教法人の規則に基づき残余財産の帰属先を決めることができる。旧統一教会(世界平和統一家庭連合、以下「旧統一教会」という)は、2009年に残余財産の帰属先を「天地正教」と決議したとされる。
旧統一教会には、1200億円の資産があるとも言われているが、そうすると解散命令、清算手続きの終了後に、場合によっては1000億円に近い資産が残りかねない。それが天地正教に引き継がれることは決してあってはならない。
その理由は
①同法81条1項1号は解散命令の根拠につき「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」と定める。
これに違反すると認められれば、まさにその宗教法人は解散させられる。すなわち宗教法人としての活動を停止させられる。
しかし、解散が命じられる宗教団体と一体の宗教団体に財産承継を認めるなら、解散が命じられた団体の活動は承継されることとなり、解散命令の効力が失われてしまう。
そこで81条1項、2項に違反することを理由とする解散命令の場合は、財産承継を認めず、下・・・
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