欠陥住宅紛争の基礎知識(71)
─型式適合認定住宅のメリット・デメリット─

弁護士(東京) 河合敏男

4 今回も前号に引き続き、型式適合認定住宅に多く見られる欠陥、トラブルについて触れてみたい。

 型式適合認定住宅を作るハウスメーカーでよく見られるのが、できない建築を無理に請けて欠陥建築を造るケースである。ハウスメーカーはいくつかのバリエーションは用意しているが、基本的に規格化された部材、工法の組み合わせであるため、認定された規格からはずれた建物を造ることはできない。そのため、規格からはずれた施主の様々な設計上、仕様上の要望を受け入れることができない。にもかかわらず、契約を取りたいがため、できない設計、仕様を承知で「できます」と言って請けてしまい、その結果、欠陥が生じたり、完成したら約束通りにできていなかったなどのトラブルが生じる。

 ハウスメーカーの多くは、競合他社との競争から、設計や仕様の固まらないうちに契約だけ先にとろうとする傾向がある。これが、上記のトラブル発生に拍車をかける。酷いときは、建築地がまだ決まっていないのに、仮の土地と仮の(架空の)図面を作って建築工事契約を締結する場合もある。いわゆる空中契約というもので、決してやってはならない。契約後に、設計、仕様の・・・

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