憲法と法律に違反
神戸地裁・大阪高裁・最高裁(連載4回のうち第1回)

弁護士(大阪) 植田勝博

 一審判決が憲法違反、大阪高裁は審理なく控訴棄却、最高裁が違法はないと判断、あるいは判断待ちの、裁判所による憲法の基本的人権の侵害と法律違反の四つの事例を紹介する。本件は、四つの事例の内、憲法の基本的人権の侵害と法律違反の動物殺害を「公共の福祉」を理由に、全く審理なく、合法とした神戸地裁、大阪高裁、最高裁の判決である。日本の司法が崩壊していることを指摘する。

1 本件事件とは

(1)兵庫県警察。遺失動物を遺失物法の公告せず兵庫県センターへ送致殺処分

 兵庫県警察が、収容した犬猫7件(合計8匹)を即日ないし数日内で兵庫県センターへ送致し、兵庫県センターは即日ないし数日内で殺処分をした事件である。警察、行政の違法による損害(違法殺害費用)を、責任者、首長から、行為者に請求することの義務付け訴訟(地方自治法住民訴訟)の事件である。

(2)憲法の基本的人権の侵害と、遺失物法、動愛法違反の犬猫殺害

 所有者不明の犬猫は遺失動物であり、警察は、遺失犬猫の所有者探しのための遺失物法の公告義務がある。「遺失物法」とは、憲法29条が規定する財産権(物として)の基本的人権を法益とし、動物の所有者・・・・

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