弁護士(大阪) 大上修一郎
つけ込み型不当勧誘取消権とは、高齢者、若年成人、障害者等の知識・経験・判断力の不足など消費者が合理的な判断をすることができない事情を不当に利用して、事業者が消費者を勧誘し契約を締結させた場合における消費者の取消権をいう。同取消権の創設について、平成30年改正(平成30年法律第54号)における参議院附帯決議第4号において、「早急に検討を行い、本法成立後2年以内に必要な措置を講ずること」とされたにもかかわらず、未だ立法化されていない。
仄聞するところでは、消費者庁が何らの提案すらしていないのではなく、最終的には内閣法制局の承認が得られず立法化に至っていないようである。
内閣法制局が同取消権の立法化に辺り懸念しているところとしては、立法事実1の有無と要件が不明確であるとの点が考えられる。
立法事実について、確かに、立法化に際しては、立法事実が必要ではあり、これに基づいて、つけ込み型不当勧誘の一場合である過量契約取消権(法4条4項)、社会生活上の経験不足や加齢等による判断力の低下の不当な利用(法4条3項5号〜7号)による取消権規定が設けられた。しかし、これらに当たらない場合・・・
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