「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会報告書」の概要

内閣府消費者委員会事務局参事官補佐 近藤 怜

同事務局総務専門職付 土屋茉奈美

1 はじめに

 令和5年11月7日付の内閣総理大臣から消費者委員会に対する諮問1を受けて設置された、消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会では、計25回にわたって多角的な見地から、消費者取引に係る消費者法制度の在り方についての検討を深めた。報告書では、令和5年7月に公表された「消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会における議論の整理」(消費者庁)の内容も踏まえ、今後の消費者法制度の在り方に関する考え方を掘り下げ、その役割を果たすための制度設計において重要となる観点・考え方を幅広く取りまとめ、本年7月に公表された2

 報告書の趣旨を広く関係者に御理解いただけるように、エッセンスを端的に示す観点から「前文」を設けることとされた。以下では、報告書の概要として、報告書の前文を中心に説明する。

2 報告書の概要

 前文の冒頭では、検討の背景となる社会状況を示している。具体的には、超高齢化やデジタル化の進展等により、消費者を取り巻く取引環境は大きく変化していること、認知機能が不十分な消費者の割合の拡大、人間関・・・

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