生活保護・自動車保有

要旨 処分取消認容、国賠請求一部認容。
「原告については、本件自動車の処分を強いることに合理性は認められず、その保有を認めて生活全般に活用させ、自立を助長することこそが、法1条(目的)、3条(最低生活)、4条1項(保護の補足性)及び9条15(必要即応の原則)等の趣旨に沿うものであり、自動車の保有が地域の一般世帯との均衡を失することにはならないと判断される。憲法22条1項は『居住、移転』までには至らない一時的な移動の自由をも保障していると解されるほか、日本も批准した障害者権利条約20条(個人の移動を容易にすること)により『障害者自身が、自ら選択する方法で、自ら選択する時に、かつ、負担しやすい費用で移動することを容易にすること』が求められていること、障害者基本法及び障害者差別解消法により、障害者に対する社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮を求められていることに鑑みても、原告については本件自動車の保有を認めることが合理的であるといえる。」
「課長通知は、自動車についてのみ『地域の低所得世帯との均衡』を問題にし、『地域の普及率の如何にかかわらず』原則的に保有は認められないとした上で、問12において、障害者の通院用自動車の保有についてまで5項目にも上る厳格な要件を列挙してその全部を満たすことを要求しており、より上位の通達である次官通知及び局長通知との整合性を直ちに認め難いものである。特に、タクシーでの移送との比較までも求めた付加部分は、最近のタクシー事情に照らしても、一層合理性が疑わしくなっているものといわざるを得ない。」
裁判所 津地方裁判所民事部
竹内浩史、芹澤美知太郎、後藤寛樹
判決・和解
・決定日 2024年(令和6年)9月26日
事件番号 令和6年(行ウ)第26号
事件名 鈴鹿市指導違反処分取消等請求事件
業者名等 鈴鹿市
問合先 芦葉 甫弁護士 059(351)8001

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。