弁護士(大阪) 白出博之1
第1 環境配慮原則
中国民法典は、総則編第1章「基本規定」に環境配慮原則(グリーン原則)を追加し、「民事主体が民事活動を行う場合、資源の節約、生態環境の保護に有益でなければならない」旨を定める(9条)。
生態環境の保護は、既に中国法に置かれているが(憲法9条2項、環境保護法1条、6条、消費者権益保護法5条2参照)、民法典9条は、環境保護を徹底すると共に、生態環境(エコ)文明3の構築、持続可能な発展理念等の要求を実現するものとして、環境資源保護を民法の基本原則に高めて環境資源保護のための民法を全面的に実現するものであり、環境に配慮する時代において人と自然の新たな関係を構築し、環境配慮型立法の潮流に順応する点で有用である4。
民法典9条は、①国の立法による民事活動規範化の基本的方向性として、資源節約、生態環境保護を重要な判断要素とする状況を確立し、②民事主体に資源節約、生態環境保護に有益である旨の理念に基づいて民事活動を行い、持続可能な発展理念を確立することを要求し、③司法機関が民事裁判を行い、民事法規定を適用する場合、資源節約、生態環境保護のための法律行為に対する保護・・・
この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。