弁護士(愛知) 岩城善之
2023年12月から、消費者庁内に「解約料の実態に関する研究会」(座長:丸山絵美子慶応大教授。以下「本研究会」という)が設置され、12回にわたって研究会が開催され、2024年12月に「議論の整理」が公表された。
消費者契約法9条1項1号は、消費者契約における解約料の定めについて、事業者に生ずる平均的損害を超える部分は無効であることを定めるが、2001年の同法施行以来、「平均的損害」に何が含まれるかについてしばしば争いになってきた。また、「平均的損害」に関する資料は、通常は事業者のみが有しているため、そのような中で消費者が「平均的損害」を算定し、事業者の定める解約料が平均的損害を超えていることを立証するのは、そもそも不可能を強いているのではないか、という問題もあった。加えて、現在は、同法が定められた2001年と比較して社会のICT化が大きく進んだ状況にあり、解約料の定め方も変化してきている。
消費者契約法は、制定以来、数次の改正を重ねてきたが、9条1項1号に関しては改正が見送られてきた。本研究会は、消費者契約法令和4年改正の衆参付帯決議で「将来の検討課題とされた事項等・・・
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