消費者をエンパワーするデジタル技術に関する専門調査会報告書について

内閣府消費者委員会事務局参事官補佐 小田直子

1 はじめに

 デジタル化の進展に伴い、消費者自身では未然に防ぐことが難しい問題や消費者と事業者に技術力の差異があることにより生じると考えられる問題があることが指摘されている。

 こうした問題への対応として、消費者を支援するため、デジタル技術を利活用することが考えられることから、内閣府消費者委員会は、令和6年3月に「消費者をエンパワーするデジタル技術に関する専門調査会」を下部組織として設置した。同専門調査会における調査審議を経て、同年12月に報告書1が取りまとめられた。以下では、報告書の概要を紹介する。

2 消費者をエンパワーするデジタル技術の利活用の意義

(1)現状と背景

 2023年度の消費生活相談件数は89万件となっており、こうした問題の背景として考えられる事項として、デジタル化及び高齢化の進展、アテンション・エコノミーの拡大、パーソナルデータの取得・利用、ダークパターンの増大が挙げられる。

(2)論点

 消費者をエンパワーするデジタル技術の利活用の観点から、論点を整理すると以下のようになる。

① 非デジタル空間の消費者問題への対応

 今後も高齢化が進展することや・・・

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