井上善雄先生を偲んで

弁護士(大阪) 中島康之

 井上善雄先生とは、ご縁があって公害問題の弁護団にお誘いいただいたのをきっかけに約15年ほど、情報公開や住民訴訟など色々な事件でご一緒させていただきました。その公害問題とは、淀川沿いにありその自然環境の良さを宣伝し大阪市が売り出した中津リバーサイドコーポのすぐそばに、大阪市が高速道路の建設を計画していた問題で、高速道路の建設反対の住民運動からはじまったものです。昭和40年代に高速道路の建設が計画されてから、50年以上経った現在でも高速道路は完成しておらず、また高速道路の計画自体も当初の高架道路から地下トンネル道路へと大気汚染が少なくなる方向で計画が変更されたという非常に稀な経過をたどっています。もちろん、高速道路が現在まで建設されず環境が守られてきたのは住民運動による力が大きいのですが、その住民運動を支えてきた井上先生の功績も非常に大きいところです。井上先生は、依頼者に対してもたいへん厳しい態度を取るときもあれば、ニコッと笑顔を見せ、場を和ませて皆の気持ちを引き寄せるという面も持っていました。井上先生のお人柄はその場の雰囲気を一変させてしまう力がありました。そのよ・・・

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