イギリスでのデジタル時代におけるギャンブル広告・勧誘規制の動向

東京経済大学現代法学部教授 上杉めぐみ

1 はじめに

 2020年2月にイギリス政府が発表したギャンブル白書(Gambling regulation)によると、近時、SNSなどの新しいチャネルによる広告量の割合が増えており、こうした広告がオンライン・ギャンブルを始めるきっかけとなっている。原則自由化の方針をとるギャンブル法(Gambling Act 2005)では、店舗を備えていないオンライン・ギャンブルを「リモート・ギャンブル」と定義づけ(4条)、既存サービスを補完するものとして奨励していたが1、スマートフォンの普及により、ギャンブル依存症問題が看過できなくなった。そこで、デジタル時代に適合した広告規制について国会で議論されている2

 日本では、オンライン・カジノは違法だが、オンライン広告を契機としてギャンブルにのめりこむ人は後を絶たず、その構図は類似する。そこで、ギャンブル広告・勧誘規制に関する研究の一部を概観し、イギリスでの経験から学んでいく。

2 既存の広告規制とオンライン広告規制の違い

 ギャンブル法327条規定の「広告」とは、ギャンブル施設への利用を奨励する行為のほかスポンサーシップも含む。た・・・

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