納骨壇使用契約の法的性質および解約に伴って生じる「平均的な損害」について(2)

九州産業大学地域共創学部准教授 岡田希世子

Ⅰ 納骨壇使用契約の解約について

1 納骨壇使用契約の特徴

 ここでは、納骨壇使用契約の解約に伴って生じる損害についての検討を行う。まずその前提として当該契約の効力発生時期について考察する。通常、納骨壇使用契約は利用者の生前に締結されるため、契約締結時と債務履行時が異なる可能性があるため問題となる。

 この点、永代供養の開始時期は、①東京地判平26.5.27(LEX/DB文献番号25519610)は、「被供養者の死亡時である」とし、②東京地判令元.6.7(LEX/DB文献番号25580133)は、「永代供養とは、一般に故人の供養のために」と述べていることから、死亡後であると考えられる。ところが、契約締結時には、利用者がいつ死亡し、納骨壇の利用はいつから開始されるかが明確ではない。そのため、契約締結後に事業者は利用者がいつ利用開始してもよいように、特定の区画を確保する、つまり「地位の確保」を行うことになる。地位の確保という観点から、管理者が債務の履行として債務の本旨に従った履行が認められる限り、納骨壇自体の使用の有無にかかわらず、何らかの対価の支払いは必要・・・

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