不当寄附勧誘防止法の活用可能性

福島大学行政政策学類准教授 中里 真

1 はじめに

 令和4年(2022年)12月10日に成立した不当寄附勧誘防止法(令4法105)は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題に端を発して制定されたものであり、本誌134号でも同法の成立後に「統一教会・宗教被害とその救済に向けて」と題する特集が組まれている。そして、その後も旧統一教会に対して宗教法人法に基づく「解散命令請求」(宗教法人法81条1項)がなされ、関連して新たに制定された特定不法行為等被害者特例法(令6法19)に基づいて、法人財産の流出を防ぐための監視強化が図られるなど、旧統一教会をめぐる問題へは立て続けに対応がとられている。折しも、令和6年7月11日に、旧統一教会の献金勧誘行為に対して、裁判所へ訴えの提起をしないことの合意の公序良俗違反性判断基準や、不当寄付勧誘防止法に言及までして勧誘行為の違法性判断基準を最高裁判所が判示したことで、この問題に対しての社会的関心は高い状態が続いている。こうした背景もあり、不当寄附勧誘防止法がテーマとして取り上げられると、視点は旧統一教会問題によりがちである。しかし、そもそも同法の適用対象は、宗・・・

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