広がるRNA操作とRNA農薬の開発

市民バイオテクノロジー情報室代表 天笠啓祐

RNA干渉法ジャガイモの開発

 これまで遺伝子操作というと、遺伝子組換え、ゲノム編集など、DNA操作が主流でした。ところが、いまRNA操作の応用が広がり、注目されています。それを象徴するのが、新型コロナウイルス感染症で登場したメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンです。しかし、RNA技術は始まったばかりであり、その効果も危険性がいまだに確定せず、一歩使用法を間違えると危険性も大きいといえます。

 RNAの本格的な利用は、RNA干渉法(RNAi)による遺伝子組換え作物の作成から始まりました。RNAiは、標的とする特定の遺伝子の働きを阻害する技術です。遺伝子の働きは、DNAにある遺伝情報がmRNAに写されます。そのmRNAに転写された情報に基づいてアミノ酸がつながり、そのアミノ酸がつながったものがたんぱく質です。これが遺伝情報の基本的な流れですが、RNAiは、加工したRNAを用いてmRNAの段階で遺伝情報の伝達を妨げ、たんぱく質ができないようにする方法です。

 このRNAiを用いたジャガイモが米国で開発され、栽培され、2017年に日本でも流通が承認されました・・・

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