知らないと怖い? 家賃債務保証委託契約

公益社団法人全国消費生活相談員協会関西支部 浅野千晶

1 事例

 「息子宛に、覚えのない会社が『賃貸マンションの原状回復費用を立て替え払いした』といって請求してきた。半年前に賃貸マンションを退去し、私も一緒に立ち会いした際にタバコのヤニ汚れの除去費用を請求されたが、息子に喫煙の習慣はなく、納得できないので払わずに放置していた。こちらが納得していない費用を勝手に払って請求するなんて不当だ」という相談がありました。覚えのない会社というのは、賃貸マンションの契約時、家賃債務保証委託契約を結んだ家賃債務保証業者(以下、保証会社)であり、息子さんの承諾なく原状回復費を代位弁済し、弁済金を請求していることがわかりました。

2 家賃債務保証委託契約とは

 家賃債務保証委託契約とは、賃借人が保証会社へ保証料を支払うことで、家賃などを滞納した場合、保証会社が賃貸人に代位弁済をし、賃借人は弁済金の請求をされるという仕組みになっています。契約内容は事業者により違いますが、滞納家賃だけでなく、原状回復費用や残置物撤去費用も保証範囲になる場合があり、保証料は契約時に月額賃料の一定割合、その後は1年毎に定額を支払うことが多い・・・

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