弁護士(東京) 阿部克臣
第1 はじめに
昨年10月に東京地裁に統一教会の解散命令請求が行われたが、その後、統一教会問題に関する報道は大きく減っており、世間には「終わった感」すら漂っている。
しかし、実際には多くの課題がまだ残っており、問題は何一つ解決していないと言っても過言ではない。
第2 財産保全・解散命令・清算手続等関係
1 財産保全の法整備
統一教会による財産隠しの危険性は、かねてから指摘されてきた。その危険性は、地裁で解散命令の決定が出された後、高裁で統一教会側の抗告が棄却されて解散命令が確定するまでの間に、最も高まる(解散命令請求事件は非訟事件のため、高裁で決定が出た時点で確定する)。
昨年12月に成立した特定不法行為等被害者特例法には、被害者や弁護士が求めてきた財産保全の規定が盛り込まれなかった。財産隠しの兆候が少しでも見られたら、速やかに財産保全の法整備が行われるべきであり、そのために、先の臨時国会で財産保全の問題点として指摘された点(信教の自由・財産権との関係、実効性等)についての議論が進められるべきである。
2 清算手続における清算人の権限強化
オウム真理教のケースでは、解散命令の確・・・
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