ソーシャルレンディングに関する判決報告

弁護士(東京) 島 幸明

1 ソーシャルレンディングについて

(1)ソーシャルレンディング(social lending)は、広い意味では、インターネット上でお金を借りたい人・企業と、お金を貸したい人・企業を結びつける融資仲介サービスのことを指すが、今回問題となったのは「貸付型ファンド」といわれる仕組みである。

(2)この貸付型ファンドにおいては、投資家に対して借り手を特定できる情報を提供すると、当該投資家が貸金業を営んでいることにならないかという懸念から、従前は、借り手を具体的に開示せず(匿名化)、かつ、複数の借り手に融資するスキーム(複数化)による運営が行われていた。しかし、このことを一部の業者が悪用して投資家に被害を生じさせる事案が多発したことから、第二種金融商品取引業協会(二種協会)の規則改正(①平成30年1月1日施行「事業型ファンドの私募の取り扱い等に関する規則」、②令和元年5月23日「貸付型ファンドに関するQ&A」)や、法改正に繋がることとなった(令和5年改正金商法40条の3の3、第40条の3の4など)。

(3)本事案は、上記①の規則施行後、②のQ&A及び法改正前の事・・・

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