「一対一メール」訴訟から見る情報公開制度と公文書管理制度の問題点

弁護士(大阪) 服部崇博

 私は63期の弁護士で、後記記載の事件(以下「本事件」といいます)の原告でもあります。

 情報公開は、国の行政文書の開示を求める場合は情報公開法、地方公共団体の公文書の公開を求める場合は情報公開条例に基づき請求することとなります1。なお、「行政文書」「公文書」とは、職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該職員が組織的に用いるものとして、当該行政(実施)機関が保有しているものをいいます。

 本事件では、情報公開請求について、請求対象文書が組織共用性を備えていないことを理由に、実施機関が非公開決定を行う場合、実施機関は、請求対象文書が存在することを確認する義務があるかどうか、非公開決定の適法性が争われた場合、実施機関は、行政上の不服申立てあるいは抗告訴訟が終了するまで、請求対象文書を保存すべき義務があるかどうか、が争点となっています。

 情報公開制度と公文書管理制度は車の両輪に例えられることがあります。情報公開請求が適切に運用されるためには、公文書が適切に管理されていなければなりません。公文書が適切に管理されていなければ、情報公開請求訴訟で勝訴したと・・・

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