消費者安全法第12条第2項通知の重み

元消費者庁財産被害対策室 財産被害調査官(元内閣府事務官) 大矢安昌

1 消費者安全法第12条第2項通知

 消費者安全法第12条第2項は、行政機関の長等が消費者事故等の情報を得た場合に、消費者庁に通知をすることで、情報を一元的に集約・分析し、早期対応と適切な対応を確保するよう体制が組まれている。私は、消費者庁で一時期、この重い任務に当たっていた。モットーとしたのは、千差万別。一見同じような手口に見えるが、実は微妙に違うケースがほとんど。従って、枠に納めた分類が先にありきではなく、法の垣根をとっぱらってありのままの相談事実を見るようにした。この点でメディアの報道語録に対しては先入観を抱かないように視点をフラットにするように気を配った。

2 最近の財産被害の傾向と手口

(1)最近は、副業等のサポートによって利益が得られると謳い、多額のサポート料を支払わせるが、消費者にとっては思ったほど利益がないので、サポート契約を解約したいというものが多い。例えば、30日間で80万円の利益が上がるが、その間サポート料が60万円かかるので、差引き20万円が稼げるという明確な差引計算上の数字を打ち出したセールストークだ・・・

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