ジャパンライフ問題 行政処分前に消費者庁幹部が天下り

弁護士(愛知) 中根祐介

1 はじめに

 今般、ジャパンライフ株式会社(以下、「J社」)に対する民事訴訟において、J社の顧問を務めていた元消費者庁幹部(以下「元幹部」)との間で、同人が原告らに対して一定の和解金を支払う形での和解が成立したことから、その点について報告する。

2 元幹部のJ社との関わりについて

 元幹部のJ社の商法との関与のうち重要なものは、以下に述べるとおりである。元幹部は、消費者庁職員であったころからJ社を取り締まる立場にあり、省庁を退職後直ちにJ社の顧問に就任したものであった。

(1)元幹部が、消費者庁職員であったころから、J社を取り締まる立場にあったこと

 元幹部の主な経歴は、以下のとおりである。

・昭和62年 通産省(当時)入省

・平成21年 消費者庁出向

 取引対策課に所属し、預託法、特商法等を担当

・平成27年3月 消費者庁を退職し、経産省に出向

・平成27年6月 経産省を退職

・平成27年7月 J社の顧問になる

 元幹部は、平成26年4月から平成27年3月(消費者庁退職時)までJ社の預託商法の取締りを担当しており、その商法の内実を深く知る立場にあったが、その直後に一転して反対側のJ社の顧問に・・・

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