第14章 その他

弁護士(大阪) 吉岡康博

1 はじめに

 今回の白書で取り上げる裁判例は、弁護士法違反に関するもの(2件)、高齢者に対する健康飲料等の過量販売に関するもの、別荘地における道路の管理費支払義務に関するもの、電気料金の値上げについて定型約款の変更が民法548条の4に反しないかが問題となったもの、事業者が求人広告の不当な勧誘を受けたものである。

2 弁護士法人の事務職員が事務職員であることを名乗らず慰謝料請求したことについて不法行為が認められた事例

 福岡地柳川支判令和3年11月15日〔1〕は、弁護士法人に所属する事務職員が、自らが事務職員であることを名乗らずに電話で慰謝料請求したことに関して、不法行為に基づく損害賠償義務(慰謝料)が認められた事例である。

 依頼者の配偶者が不倫をしている相手に対して、事務職員が電話をし、受任の通知をしたうえで慰謝料を請求した行為が問題となったところ、同判決は、通常は弁護士からの連絡と相手方に誤認されかねない行為であるとし、相手方に対して裁判をする意思があることを告げて慰謝料請求に応じることを求めたり、相手方が文書での交渉を要求しているのに対し文面でのやり取りはしない旨を回・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。