第5章 証券・金融商品

弁護士(大阪) 中嶋 弘

東京地裁令和5年5月29日判決

 字数制限があるため上記東京地裁判決だけを紹介する。この他に、ソーシャルレンディング事業を行う第二種金融商品取引業者のウエブサイト上の表示が、金商法38条9号、金商業等府令117条1項2号で禁止されている虚偽表示にあたり、かつ、第二種金融商品取引業協会の事業型ファンドの私募の取扱い等に関する規則5条1項、6条に違反し、私法上も説明義務違反を構成するとした東京地裁令和5年6月26日判決及びその控訴審判決である東京高裁令和6年1月24日判決がある(証券取引被害判例セレクトに掲載予定)。

(1)事案の概要

ア 証券会社従業員から2回にわたり仕組債の勧誘を受けて購入した顧客が、①公募の為替連動債を2000万円で購入したが、満期に1173万1480円の償還を受けるにとどまったこと、及び、②私募のEB債を2500万円で購入したが、満期に日本航空株式5500株と調整金を取得するにとどまったことによって被った損害について、適合性原則違反、説明義務違反、指導助言義務違反を理由に、債務不履行及び使用者責任に基づく損害賠償を求めた事案である。以下ではそれぞれの・・・

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