第3章 特定商取引法関係

弁護士(大阪) 西村陽子

 前回白書以降(136号から139号まで)の特定商取引法関係の判決には、以下のとおり、3件の判決がある。

 〔1〕は、確実に利益が上がるなどの説明を受け、投資ファンド及び仮想通貨への投資を勧められ400万円を送金したが、その後、配当の方法がドルからコインに変更されたあげく、一度も配当がなされることなく、元金も引き出すことができなくなったという投資詐欺に関し、請求原因を争うことのなかった首謀者には、故意による不法行為責任を認め、説明会の講師を務めた者、原告に対し積極的に勧誘を行った者に対しては、本件ファンドや仮想通貨は実体がないか、仮にあるとしても投下資金が回収不能になる可能性の高い投資商品であり、原告を勧誘するにあたり、これらの仕組みや投資リスク等について十分に調査し、その内容を告知すべき信義則上の義務を負っていたというべきであるとして、過失による不法行為責任を認めた。一方で、本件は一般的な投資商品と比較して極めて高利益を喧伝するものであり、原告は、金融機関に勤め、金融商品の販売や融資業務に従事しており、被告らが説明する収益性やリスク等がおよそ現実的でないことは容易に・・・

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