訪問販売消費者救済事業の運用及び制度の改善を求めて
─ジャパンライフ問題被害への訪問販売協会の対応を踏まえて─

弁護士(大阪) 薬袋真司
弁護士(大阪) 西田陽子

1 はじめに

 全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会1(以下、「全国連絡会」といいます)を構成する各地の弁護団は、ジャパンライフによる被害の救済を求めて、訪問販売協会(以下、「協会」といいます)に対し、2018年7月から2022年1月にかけて、訪問販売消費者救済基金2の申請を行いました。

 全国連絡会に参加する弁護団では、合計1388契約について申請を行いましたが、結局、給付決定に至ったのはわずか17契約(支給額の合計は950万2340円)にとどまりました。不受理とされたものは、1339契約(約96.5%)に及び、その具体的な理由は示されず、後述する業務方法書記載の受理保留の上の助言やあっせんによる解決という機会もありませんでした。また、受理通知があった49契約中、31件は不承認となり、その具体的理由も示されませんでした。

 これらの事実を踏まえ、全国連絡会は、協会に対し、2023年4月17日付で要望書を提出し、不受理及び不承認の理由を明らかにすること等を求めましたが、協会は、同年5月23日付回答書において、既に理由の説明や助言は行っていると回答するの・・・

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