獣医師 相良芙美
五つの自由は、1960年代の英国において家畜に対する動物福祉の理念として提唱され、人間の管理下にあるあらゆる動物の福祉の指標として国際的に認められている概念である。五つの自由は、1)飢えと渇きからの自由、2)肉体的苦痛と不快からの自由、3)外傷や疾病からの自由、4)恐怖や不安からの自由、5)正常な行動を表現する自由、である。
日本でもこの五つの自由に基づいて、動物の愛護及び管理に関する法律第2条が定められている。
動物の愛護及び管理に関する法律
基本原則 第2条
1.動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。
2.何人も、動物を取り扱う場合には、その飼養又は保管の目的の達成に支障を起こさない範囲で、適切な給餌及び給水、必要な健康の管理並びにその動物の種類、習性等を考慮した飼養又は保管を行うための環境の確保を行わなければならない。
動物に五つの自由が与えられていない場合、その動物はネグレクト・虐待に直面しているといえる。動物・・・
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