弁護士(大阪) 増田 尚
1 保証委託契約における追い出し条項
連載①で述べたとおり、賃貸住宅契約の8割で家賃債務保証業者による機関保証が付されているが、大半は、賃借人からの委託を受けてなされており、賃借人と保証業者との間には保証委託契約が締結される。しかし、この保証委託契約は、消費者である賃借人等にとって不利な条項が散見される。
特に問題なのが、賃借人が賃料を滞納した等の場合において、①保証業者が賃貸借契約を解除することができるとする条項や、②保証業者が、賃借物件内に立ち入って、賃貸人が保管している動産等を搬出、処分できるとする条項である。
①保証業者は、賃貸借契約の当事者ではないのであるから、賃借人に賃料等の債務不履行があったとしても賃貸借契約を解除できるわけではない。保証委託契約等において、保証業者に賃貸借契約の解除権が付与されたとしても、保証業者が代位弁済したときは賃借人の賃料債務等が消滅するため、賃貸人は、遅滞を理由に賃貸借契約を解除することはできないことからすれば、消費者である賃借人の権利を制限するものであり、かつ、賃貸借契約の当事者でない保証業者がその一存で何らの限定なく解除権を・・・
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