日本の民主主義運動強化のために(37)
─市民運動・消費者運動で飯が食えるか─

弁護士(大阪) 木村達也

1 はじめに

 今日、市民運動や消費者運動を担うことを期待されている若い弁護士や司法書士の業務環境は誠に厳しい。しかし、若い人がこうした市民運動や消費者運動に関わるきっかけの多くは、自分の担当事件で直面した被害や不正に対する怒りや仲間の要請を受けて関わることから始まるのである。

2 サラ金事件の経験から

(1)「サラ金問題研究会」「サラ金被害者の会」

 私が弁護士7年目にして仲間を募って結成した「サラ金問題研究会」は、サラ金規制法案の作成を目的としていたが、先ずは、具体的な多重債務者の被害実態を多く知る必要があった。そのため、大阪弁護士会に「弁護士会に持ち込まれるサラ金の“多重債務事件”を私達に回して欲しい」と申し出た。当時は、多重債務事件は誰もが逃げたい事件だったため、弁護士会は喜んで研究会に事件を配転してくれた。

 多重債務事件を直視すると悪質なのは貸金業者であり、債務者は被害者であることが見えてくる。被害者救済運動の原点は、人として不正に対する怒りであり、人間が本来持つべき正義感なのである。

 そんななかで、毎日新聞が「若手弁護士サラ金110番開設」と紹介したことにより一気に・・・

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