ムン・ジニョン教授、ソン・ギョンヨン神父からのヒアリング(国民生活基礎保障法)

花園大学社会福祉学部教授 吉永 純

【日時】2023年10月13日(金)9時~12時20分
【場所】西江(ソガン)大学

【要点】韓国は1999年に恩恵的な生活保護法から権利としての公的扶助法である国民生活基礎保障法を制定した。今回の視察では、この制定運動の立役者であるムン・ジニョン教授とソン・ギョンヨン神父から、同法の制定過程と現状について直接レクチャーを受け、生活保障法の制定をめざす我々にとって貴重な示唆を得ることができた。

1 ムン教授からレクチャー -国民生活基礎保障法の制定過程と同法の意義

(1)韓国の市民運動が作った国民生活基礎保障法

 IMF後失業者が急増し、貧しい人を助けないといけないという気運が高まり、恩恵的な生活保護法の改正をめざす連帯会議を作った。大切なのは福祉国家と国民基本線である。1987年直接民主義実現後、90年代の韓国の市民社会運動は階級的運動から主に社会改良問題に力点を置くようになり、専門家中心、漸進的で実用的アプローチへと力点が変わってきて、1994年に設立された参与連帯が中心になって国民基本線運動を全国的に展開した。99年から参与連帯を中核に全国64の運動団体をまと・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。