グローバリゼーションの中の消費者法

著者:松本恒雄
発行:信山社出版
価格:1,400円(税別)

 本書は松本恒雄先生による分かりやすく整理された消費者法テキストである。

 日本の法律はフランス・ドイツから輸入され、法律学が形成されてきた。消費者被害が多発してきた中で消費者問題の解決のためにその民法が使われてきた。

 しかし、民法では消費者という特性と対応する事業者との間の関係性を解決する法律として不十分であり、ここに消費者法が生まれ、育ち、現在の消費者法制へと進化をしてきた。消費者法の構造が対等の人と人との規律に対して、事業者による消費者被害が発生し、事業者の責任を明確にされることによって消費者の被害の予防と救済のための消費者法が形成された。

 1990年代からデジタル化が広がり、取引がオンライン化されることによる消費者被害が一挙に多発する。さらにデジタル化に伴う広告とマーケティングで商品・役務の対価の支払いがキャッシュレスになってきた。クレジットなど与信業者は複数の事業者が提携ないし決済処理をすることにより、一つの取引が複数の業者の連携により極めて複雑化する中での消費者保護の権利行使と救済が図れることとなった。さらに、デジタル化はグロー・・・

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