瑕疵担保責任に基づく売買契約解除の基準
─雨漏りによる中古住宅売買契約の解除─

弁護士(大阪) 島村美樹

1 本件の経緯

(以下、売主の(株)ハウスコンサルタントを被告という)

(1)本件建物は、築約14年の中古物件で、3階建て鉄骨造、おしゃれな南欧風の外壁飾り柱・梁が特徴である。被告は競売に出された本件建物を競落し、リフォームを施して売りに出したところ、原告は、本件建物のおしゃれな外観が気に入り、2016年2月、本件建物を被告から購入し、家族と居住を始めた。

(2)入居約4カ月後、本件建物の3階で激しい雨漏りが発生し、その後も、3階及び2階に、激しい雨漏りが何度も発生し、3階居室は衣服や物が置けないほどカビだらけとなり、2階の室内も汚損された。被告は内装等の補修を行ったが、抜本的解決にはならなかった。

(3)2019年8月、台風の2日後の夜に、3階及び2階に施された外壁の化粧柱・梁が突然崩落した。原告が一級建築士の調査を受けたところ、原告が引渡しを受ける相当以前から雨水の浸入による腐食や錆びが発生していたことが報告された。

(4)原告は、2020年10月、瑕疵担保責任に基づく本件建物売買契約の解除及び損害賠償等を請求して本件訴訟を提起した。

 本件は、付調停とされ、解除を前提と・・・

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