弁護士(大阪) 松本亜土
1 はじめに
2023年6月9日に、改悪入管法が成立しました。
今国会でも、改定の阻止に向けて、市民・学生・弁護士が団結して全国で社会運動が巻き起こりました。
難民問題との関係では、難民認定申請中の強制送還が可能になること、そして退去強制命令に従わない人に対して刑事罰を与えうる点が特に問題となります。
2 そもそも日本の難民認定審査機能が審査していないこと
(1)日本の難民認定率の低さ
日本の難民認定率は、世界と比べ非常に低く、2021年までも、日本の難民認定率は1%未満がほとんどです。
日本では、裁判所という第三者機関の介入によって数年越しに難民認定が出たケースもあります。
(2)難民認定の困難さ
ア 昨今の世界情勢では、時代の要請に応じて人道的に難民の受入れを拡大しています。
他方、日本は、難民条約の難民の定義の解釈が狭いという理由もあります。
イ また、難民認定に関し、難民本人に自分が難民であるという立証の責任が課されているのが現状です。
しかし、難民は、自分が難民であるという証拠を持って逃げて空港に行く行為そのものに命の危険があります。そのため、難民は、自分が難民であるという証・・・
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