弁護士(京都) 野々山 宏
第1 はじめに
令和4年5月25日に、消費者契約法および消費者裁判手続特例法の改正法が成立し、二つの法律が一度に改正された。第3次改正となった消費者契約法の実体法部分は、①契約の取消権を三つ追加、②免責の範囲が不明確な条項(サルベージ条項の一部)の無効、③事業者に契約勧誘時だけでなく契約途中や解約時を含めたいくつかの努力義務を明示したが、全体としては、きわめて不十分な改正に終わっている。
さらに、霊感商法問題に対応するために令和4年12月10日に第4次改正が成立した。その内容は現行法4条3項6号の要件を修正し、併せて同号に規定する不当勧誘類型に限って取消権の行使期間を伸長した。しかし、実際に救済できる範囲は極めて限定的なものに留まっている。
第2 消費者契約法の令和4年5月改正の概要
1 第3条 事業者及び消費者の努力の改正
(1)第3条1項2号
情報提供の考慮要素に、「年齢」「心身の状態」が加えられた。一方で、「事業者が知ることができた」の限定がされた。
(2)第3条1項3号
消費者が定型約款の交付等の請求を行うことについての情報提供義務が規定された。しかし、本来契約の内容・・・
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