呉服過量販売被害
─「きもの松葉」に対する大阪市の取り組みについて─

弁護士(大阪) 松尾善紀

1 はじめに

 呉服の展示会商法・次々販売・過量販売が社会問題となったのは、筆者が木村達也先生の事務所のイソ弁としてこの問題に取り組むようになった平成16年から平成17年頃のことと記憶している。

 この当時より、「きもの松葉」(株式会社松葉・株式会社奈良松葉)は、呉服等の過量販売被害を取り扱う弁護士にとっては名の知れた業者の一つであった。

 その後、呉服販売業者やクレジット会社に対する訴訟の消費者側勝訴判決・各消費者団体による特商法・割販法改正を求める消費者運動などにより、平成20年には特商法・割販法が抜本的に改正され、過量販売や過剰与信に対する規制は一応ではあるが実現した。

 クレジット会社は悪質呉服販売業者との提携関係を見直して加盟店審査を厳しくするとともに、業界全体として過剰与信が控えられる傾向となり、また、時期を前後するが、あぜくら・たけうちなどの大手呉服販売業者の倒産も相次いだこともあって、個品割賦(個別クレジット)を利用した呉服販売被害は減少した。

 こうした流れの中、販売与信の手法を自社割賦の方法に変えながら、平成16年当時と同様の商法で生き延びてきた業者のひとつが「・・・

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