著者:山下裕介
発行:中央経済社
価格:2,800円(税別)
著者は、現在作新学院大学経営学部准教授で、CSR(企業の社会的責任)や企業倫理を研究している。これまで、不祥事を起こさないようにするための企業倫理の内部制度化などを研究してきた著者であるが、やはりそのような事業者側の自主的取組みだけでは不十分と考え、今回この著書では、消費者庁を中心とした日本の消費者行政による公的規制の議論を展開している。
第1章「消費者庁設置構想をめぐる論争の研究」では、まず、戦後の消費者庁設置構想史を振り返っていく。2009年9月1日に発足した消費者庁の設置構想をめぐって、そのあるべき姿を提唱した各種提案を分類していく。
第2章「消費者庁とCSR・企業倫理—包括的なCSR・企業倫理行政を実現する体制・制度の検討—」では、消費者庁を中心とする日本の消費者行政が、事業者の倫理を実現することも可能であることを理論的に明らかにする。まずは、消費者庁の設立理念にも込められていた「生活者」の概念について明らかにし、「狭い意味での消費者」のためだけの行政ではなく、「生活者」全般のための行政を担うべき規範的根拠を示す。そして、消費・・・
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