公益社団法人全国消費生活相談員協会九州支部 園田しのぶ
はじめに
「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引法等の一部を改正する法律」が昨年の6月16日に公布された。この中で契約締結時に事業者に義務付けられている書面の交付について、紙での交付を原則としつつも消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に電子的方法により提供することが可能となった。この改正について相談現場に身を置く者としての考えを述べたい。
相談現場では契約書面受領の確認から
消費生活相談の電話を受けたとき、被害の実情を訴え続け、慌てる相談者を落ち着かせ、まずどの相談員も尋ねるはずである。「契約書はお手元にありますか?」「契約書面を見ながら契約内容をゆっくり、一緒に確認して行きましょう」と。また、来訪相談のときは相談者が持参した契約書面を法定書面かどうか、じっくりと確認をしながら、契約に至ったきっかけ、勧誘時の事業者の言葉、態度等を相談者から聞き取っていく。その作業の中で相談者自身が不当な契約を結んでしまったと気づき、あるいは自分の勘違いだった、契約書面をよく読んでいればよかった、と後悔をすることもある。ある時の電話相談・・・
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