成城大学教授 町村泰貴
消費者を取り巻く社会がデジタル化・ネットワーク化して久しい。もちろんネットを介さない消費者取引とそれによる被害がなくなったわけではないし、問題の深刻さや重要性が失われたわけではないが、対面取引にもデジタル機器が利用される形でデジタル化が進んでいる。そして通信販売の多くはデジタル化・ネットワーク化に馴染みやすく、インターネットを通じて最初からネット上の取引に誘い込むものから、紙媒体からネット取引に誘導することが多く行われている。
こうした社会状況の下、消費者にとっての可能性とリスクもまた、大きく変化している。リスクの面から言うと、単純に詐欺とか、サクラサイトとか、無価値の情報商材を売りつけるとか、あるいは不正アクセスして金銭を盗み取るとか、そのような犯罪行為がデジタル・ネットワークの不透明さの影でやりやすくなっている。これらは、本来なら如何にして取り締まるかという問題であろう。しかし、その端緒となるメールやSNS、あるいは動画共有サイトなどでの広告による勧誘は、法的規制が十分とはいい難い。
また、消費者の個人情報を収集し、プロファイルすることにより、商品サービスの販売促・・・
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