食の安全・市民ホットライン事務局長 西原崇文
序論
2022年1月、一部報道をきっかけに、熊本県産アサリが実は中国産アサリだったという「熊本県産アサリ産地偽装問題」が発覚した。筆者が、運営委員をしている食の安全・市民ホットライン1のコア団体である食の安全・監視市民委員会2は、消費者庁・消費者委員会発足の契機の一つにもなった「産地表示の偽装防止」が完全に反故にされ、長期間・継続的に偽装食品の販売が放置されて、消費者が損害を被ったという事実は、見過ごすことはできないとの観点から、農林水産省などに対しては、「対応遅れは許されない、アサリ事件は氷山の一角〜すべての食品にトレーサビリティ制度の導入を〜」と題した意見書3を提出した。
本稿では、消費者の権利を守る観点から調査活動をしているコア団体・食の安全・監視市民委員会が、熊本県に対して実施した公開質問状を通じたやり取りの報告、および見えてきた課題について論じる。
熊本県への質問内容
2022年2月8日、食の安全・監視市民委員会が、熊本県へ出した質問内容4は、以下のとおりである。
1 2022年2月1日、熊本県知事のアサリ偽装問題の臨時記者会見において、熊本・・・
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