エフオーアイ被害株主弁護団最高裁判決

エフオーアイ被害株主弁護団事務局長 弁護士(東京) 中村新造

第1 事案の概要

 半導体製造装置メーカーであった株式会社エフオーアイ(平成22年5月31日破産手続開始決定)は、平成21年11月に東証マザーズに上場したが、わずか7カ月後の平成22年5月に、有価証券届出書の虚偽記載(売上の約97%が架空であった)が発覚し、翌6月に上場廃止となり、同社の株式購入者が被害を受けた。

 従来、上場審査においては、監査法人(公認会計士)、引受証券会社、証券取引所による三重の審査が存在するとされてきたが、これらがいずれも機能せず、証券市場への信頼が大きく損なわれた事件である。

 当弁護団は、同社の株式購入者の代理人として、平成22年9月に第一次訴訟を提起して以来、平成24年12月に第五次訴訟まで提起し、①エフオーアイ元役員、②会計士、③引受証券会社、④売出所有者(以上については金融商品取引法・民法上の責任)、⑤東京証券取引所(以上は民法上の責任)に対して損害賠償請求を行った。

第2 事案の進行と本判決の位置付け

1 一審原告は、主に個人投資家ら210名である。金融商品取引法との関係で、発行市場で株式を取得した原告と流通・・・

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