弁護士(大阪) 木村達也
1 はじめに
21世紀の今日、全世界が注視する中で、ロシアはウクライナに有無を言わさぬ軍事侵攻を行い、世界の人々に衝撃と恐怖を抱かせている(「見える戦争」)。ウクライナは自国の領土を侵されてはならじと懸命の国土防衛戦を闘っている。本稿執筆時にはまだ戦争の勝敗は決していないため、軽々な論評予測はできないが、私達がこの戦争から学ぶことは多い。それは、私達が闘っている市民運動や消費者運動などと同じく、弱小のウクライナの軍隊が大国ロシアの軍隊に挑む今回の戦争は、弱者が強者に挑む戦いである。
2 情報戦に負けて孤立したロシア
圧倒的な軍事兵器を持つと言われているロシアは、予想に反して緒戦でのウクライナのキーウ(キエフ)の占領・陥落をはじめ、主要都市の占領に失敗し、早々に戦術の転換を迫られている。ロシアは、ウクライナや欧米諸国から「不法侵攻」「ジェノサイド」とまで厳しく批判され、世界に「悪者の侵攻」というイメージが定着した。ウクライナ国境に集結するロシア軍の動きが米国の衛星で追跡され、メディアに逐一晒されている。もちろん、ロシアの戦争は悪であることは間違いないが、米国がロシアの開・・・
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