第14章 その他

弁護士(大阪) 吉岡康博

第1 はじめに

 今回の白書で取り上げる裁判例は、預金者保護法に基づく預金補填請求について預金者に重大な過失があるとして補填請求が否定された事例、別れさせ工作委託契約と称する契約について公序良俗違反性の有無が問題となった事例、リゾート会員権の販売方法について不法行為責任が認められた事例、メール送受信による占いサービスを提供していた占いサイトの運営業者に不法行為責任が認められた事例、納骨堂の運営が資金的に困難であったにもかかわらず納骨壇使用契約を締結した点に不法行為責任が認められた事例、社内で労働者に対し人種差別的な文書を大量配布するなどした行為について損害賠償義務が認められた事例、及び福島第1原発事故に関するものである。

第2 預金者保護法に基づく預金補填請求が否定された事例

 銀行のキャッシュカードが盗難されるなどによって、第三者がATMで不正に預金の払戻しを受けた場合、預貯金者が個人であれば、偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律(預金者保護法)に基づき不正払戻金額について補填を受けることができる。その・・・

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