理化学研究所革新知能統合研究センター客員主幹研究員 国立情報学研究所客員教授 大阪大学社会技術共創研究センター(ELSIセンター)招へい教授 国立がん研究センター客員研究員 弁護士(東京) 板倉陽一郎
第1 判決ラッシュ続く「いのちのとりで裁判」(生活保護基準引下げ違憲訴訟)
1 画期的な大阪地裁判決〔1〕
厚生労働大臣は、2013年から史上最大(平均6.5%、最大10%)の生活扶助基準(生活保護のうち生活費部分)の引下げを行った。その引下処分の取消し等を求める「いのちのとりで裁判」が全国29地域で闘われている。
2021年の消費者法白書(本誌128号58頁)でも紹介したが、2021年2月22日、大阪地裁は、この減額改定には裁量権の範囲の逸脱または濫用があり、生活保護法3条、8条2項に違反し違法であるとの画期的な判決を言い渡した。その理由は、厚生労働大臣が引下げの根拠とした「生活扶助相当CPI」という独自の指数(-4.78%)が、通常の消費者物価指数の下落率(-2.35%)よりも著しく大きい下落率となっている点等が、「統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性」を欠くという点・・・
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