弁護士(大阪) 加納雄二
この1年間に法ニュースに掲載された判例は以下の3件です(但し、〔2〕は〔1〕の控訴審判決)。
〔1〕東京地裁令和2年2月28日判決
〔2〕控訴審東京高裁令和2年12月3日判決
上告審につき、最高裁(第三小法廷)令和3年9月28日上告棄却・上告不受理の決定で確定。以下の事案の紹介は、判例和解速報による。
・事案の概要
本件は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会、町田協会)の信者らが、夫と一人息子に先立たれた原告(当時57歳)に対し、夫や息子が地獄で苦しんでいるなどと、ことさらに不安感・恐怖心を煽り、それに乗ずる形で、不当に多額の金員を献金の名目で支払わせ、未だ畏怖誤信状態にあるYさん(筆者注:原告のこと。以下同じ)に対し、一部の少額な献金(203万円)の返還をしつつ、その他多額の献金等(財産上の損害の損害だけで約400万円)について旧統一教会等が侵害賠償責任を免れる内容の「合意書」を作成し、これに関して、説明もせず、署名・押印をさせることによって、統一教会らの責任を免れようとした事案である。
1 地裁判決は、統一教会及びその信者に対して、請求額(523万円)の約9割の476万円の・・・
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