名古屋大学大学院法学研究科教授 林 秀弥
昨今、大手デジタル・プラットフォーム(DPF)を介して消費者は様々な商品やサービスを購入している。消費者がDPF上であるメーカーから出品されていた商品(新品)を購入したところ、その商品が出火したり、あるいは爆発したりして、当該消費者が思わぬ甚大な損害を被ったとしよう。その場合、当該消費者は、そのメーカーに損害を補償してもらいたいと通常考えるだろう。しかし、本件商品を販売していたメーカーが本件DPFの商品ページに記載していた連絡先が国外のものであり、日本から連絡を試みてもそもそも音信不通になっていたり、あるいは誠実に応答しなかったとしたらどうだろうか。そしてそれ以外の連絡手段としては、本件DPFが商品のやり取りのために用意しているフォームを通じてしか、他にやり取りの方法がないとしたらどうか。この場合、消費者は、日本の弁護士に依頼し、当該弁護士を通じて、国内のルールに則った交渉のための仲介や、当該メーカーの連絡先開示に関する照会を、当該DPF事業者に依頼しようとするかもしれない。しかし現実には、DPF事業者側は非協力的であることも多い。また地域の消費・・・
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