送り付け商法における周知のあり方
─消費者庁の広報の問題─

弁護士(大阪) 西塚直之

1 はじめに

 消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律(令和3年法律第72号)の一部が令和3年7月6日に施行された。

 この改正により、送り付け商法に関するルールも変わった(特定商取引法59条)。具体的には、商品を送り付けられた消費者には、その商品を処分等するまでに14日間保管することが求められていたが、期間の経過が要求されなくなった1

 この改正について、消費者庁も広報を行っているが、その広報は、直ちに捨てることを推奨するかのような内容となっており、不適切であって、現場レベルでかえって混乱を招く可能性がある。

 以下、消費者庁の広報について言及し、どのような周知をすべきなのかを示したい。

2 消費者庁による広報の現況

消費者庁ウェブページに掲載されているチラシ

 消費者庁のウェブサイトには「身に覚えのない自分宛ての商品が届いたあなた その商品、直ちに処分できます! 支払も不要です!」というタイトルで、送り付け商法に関する広報ページ2が存在する。

 まず「1 対応のポイント」として下記のようなチラシを掲載しており、「一方的な送り付け行為・・・

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