消費者契約法第3次改正の行方

弁護士(京都) 野々山 宏

1 第3次改正を検討する「消費者契約に関する検討会」

 消費者契約法の第3次改正が佳境を迎えている。2016年、2018年の2回の改正で積み残された論点を検討する、「消費者契約に関する検討会」(以下、「検討会」という)が、2019年12月に発足し、2021年5月現在17回にわたる検討を積み重ね1、2021年夏を目処に報告書をまとめていくスケジュールとなっている。改正に向けた議論は最終盤を迎えている。

 当初の主な検討事項は、①消費者が合理的な判断をすることができない事情を不当に利用した勧誘(いわゆる「つけ込み型」勧誘)に関する取消権の規律、②「平均的な損害の額」(法第9条第1号)に関する消費者の立証負担を軽減するための規律、③契約条項の事前開示及び消費者に対する情報提供に関する規律であった2。その後の議論で、「平均的な損害の額」の意義、新たな不当条項の追加などの論点が加わった。

2 消費者契約法の改正を実現する連絡会

 消費者契約法改正を、消費者の権利を確保する内容としていくために、2015年7月から活動しているのが「消費者契約法の改正を実現する連絡会」である。全国の200・・・

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