編集後記

◇「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案」が国会に提出された。特定商取引法と預託法の改正を柱とするものである。

◇この法案において提案されている種々の内容は、昨年消費者庁に設けられた検討委員会の報告書を踏まえたものである。しかし、書面交付義務について消費者の承諾がある場合に電磁的方法によることを許容する点は、検討委員会の議論を経たものではない。これは、昨年11月の規制改革推進会議の成長戦略ワーキング・グループでのオンライン・レッスンに関する議論を契機に、その後の消費者庁内部の議論のみで、対面取引にも電子化を許容するという形で法案に取り入れられたものである。

◇だが、この提案には、それを必要とする社会的事実(立法事実)が乏しい。オンライン・レッスンにあっても、短期の取引をするのであれば、書面を交付することなくオンライン上で手続を完結することができる。訪問販売等の対面取引にあっては、わざわざオンラインで書面を交付する必要性もなく、現にそれを求める声も出されていなかった。また、立法にはその弊害の有無を検討することが不可欠であるが、その検討も・・・

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