三菱自動車燃費偽装事件に関する弁護団の活動と大阪地裁令和3年1月29日判決

三菱自動車燃費偽装事件被害弁護団副団長 弁護士(大阪) 土谷喜輝

1 燃費偽装の発覚

 三菱自動車工業株式会社(以下「被告三菱自動車」という)は、平成28年4月20日、同社が生産する「eKワゴン」「eKスペース」と日産自動車株式会社(以下「日産自動車」という)向けに供給している「デイズ」「デイズルークス」の計4車種(以下「本件車両」という)に関し、国土交通省へ提出した燃費試験データについて燃費を実際よりも良く見せるため、不正な操作が行われていたことなどが判明したとして燃費偽装があったことを公表した。三菱自動車の燃費偽装は、遅くとも平成3年頃から始まっており、上記車両についても、平成25年5月からの長期間に亘り、三菱自動車は計15万7000台を販売し、日産自動車向けに計46万8000台を生産していたにもかかわらず、両社は、本件車両を購入した消費者に対し10万円(クレジット契約で購入した消費者に対しては契約年数に1万円を乗じた金額)の補償しかしないという対応をした。

2 弁護団の結成

 燃費偽装という悪質な行為により消費者を長年欺いてきた大企業が損害額を10万円と決めて問題を終結させようということに怒・・・

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