若者への居住支援は日本への未来の投資
─《若者住宅》と家賃補助─

日本住宅会議理事 NPO法人すみださわやかネット理事長 中島明子

1 新型コロナ禍と若者

 新型コロナ禍による生活危機は、若者にも襲った。若者の半数を超える職員・従業者が非正規雇用で、コロナ禍で雇い止めや事業所・店舗等の休業や廃業により職を失い、家賃さえ払えず路上生活に陥る危機に晒されている。学生・大学院生も同様だ。アルバイトができない、あるいは親からの仕送りが難しくなったなどの理由で、生活面でも学業・研究面でも追い詰められている。

 元々若者の雇用と収入の不安定や大学等の高学費があり、生活基盤となる住宅費は大都市では高く、低質な住宅に住んでいる若者が多い。その脆弱な基盤を新型コロナ禍が揺るがしている。

 一つの光は、生活困窮者自立支援法に基づく「住居確保給付金」制度の改善である。これはリーマン・ショック後に導入され、国の制度となった唯一国の家賃補助制度である。しかし失職した人への再就職支援として使い勝手が悪かったが、失職していなくても、フリーランスの人も、内定取消しの学生も利用できるようになった。居住貧困に取り組む支援団体の強い働きかけの成果だ。

2 若者と居住貧困

 2020年2月8日、東京新宿区で、・・・

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