消費者被害の救済と抑止
─国際比較からみる多様性─

  • 編者:松本恒雄
  • 発行:信山社
  • 価格:6,500円(税別)

 国民生活センター設立50周年の節目に、同センター比較消費者法研究会による共同研究結果を礎に比較法学会や日本消費者法学会でのシンポジウム等で議論を深めた成果が一冊の本になった。

 この間に整備されてきた日本における「消費者被害の救済と抑止」のための関連諸法の運用実態、とりわけ消費者契約法等に基づく適格消費者団体による差止請求および消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律に基づく特定適格消費者団体による集団的被害回復請求、さらには、改正景品表示法に基づく消費者庁による措置命令や課徴金納付命令のあり方等を総括しつつ、これとの比較として、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、ブラジル、中国の各国における同様の法制度と運用実態をコンパクトに紹介したものである。

 特に、編者が提唱する「金銭支払の機能と執行主体のマトリックス」において、被害者・消費者団体・事業者団体・行政・検察という五つの執行主体と被害救済・利益吐き出し・制裁という三つの機能との掛け合わせのうち日本で未整備のままとなっている部分について、「被害者および消費・・・

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